2021.08.02 Monday
ウリ、かっこよ!
★日本語【イ形容詞】
ところで
バリおやじが就職した日の
この写真――
窓の梁に
ウリすけが
じつに久しぶりのことでした。
以前は、しょっちゅうでした。
晴れわたった秋の青空とか
夏の燃えるような夕焼けとか
そりゃあもう、いい景色。
そうそう、
こんな大ヒットもありました。
☆賞金稼ぎ☆
ここで撮った写真が
アノ岩合さんの選で
アサヒカメラに載ったのだ!
それが
最近ではとんと上らなくなって
つまんないな、と思っていたら
ベランダが消えた日、
突然上ったのでした。
やっぱり、いい。
猫って、
ほんとうに
うつくしい。
カッコイイ!
またちょくちょく
上っておくれ。
※今週の日本語バナシは
「かっこよ!」という日本語を聞いて
オバサン日本語教師が感心した話。⇩
***
近ごろの若いもんは
「うまい」を「うまっ」
「高い」を「高っ」
「やばい」を「やっばー/やばっ」
と言いますね。
いや、若いもんに限りませぬ。
還暦過ぎのワタシも堂々使っております。
形容詞の語幹だけを投げ出すこの言い方は
以前から広く使われていました。
「熱っ」「痛っ」などは
みなさまも、ふつうにお使いでしょう。
*
先日のこと、
ウトウトしながらradikoを聞いてたら
若いラジオパーソナリティーが
「かっこよ!」と叫ぶのが聞こえました。
「かっけー」じゃなくて、「かっこよ」。
ほほー、と、一瞬目覚めかけたものの
そのまま眠ってしまったのですけれど、
珍しく翌朝になっても覚えていたので
ちょっと考えてみました。
**
「いい」という形容詞は
不規則な活用をします。
形容詞に限らず、動詞でも、
使用頻度の高い語ほど
活用が不規則になるのは
ありがちなことです。
「いい」の場合、どう不規則かというと
いくない ⇒ よくない
いくて ⇒ よくて
いかった ⇒ よかった
いければ ⇒ よければ
いかろう ⇒ よかろう
という具合です。
終止・連体形は「いい/よい」どちらでもよく、
そのほかの活用形には
古い形の「よい」が使われているわけですね。
「よい」には、古くて硬い印象がありましょう?
そこへもってきて、
今どきふうの「うまっ、やばっ」型表現として
「かっこよ!」が聞こえてきたのでした。
「かっこい!」じゃなくて
「かっこよ!」と。
***
たった1回聞いただけだし
それも半醒半睡の朦朧状態だったし
断言はできませんけれども、
こんな「くずれた」表現のときにも
「いい」が不規則活用だという一点は
守られていたわけです。
いやあ、ことばっておもしろい。
つぎは、「気持ちよ!」ですな。
オバの耳にいつ届くか、たのしみです。
みなさまの周囲では
すでに「気持ちよ!」が
使われていますかしら?
参考文献備忘: 清水泰行「現代語の形容詞語幹型感動文の構造」
コメント
最近、夫が見ているアニメで、謎の異星人?未来人?がそのような尻切れた話し方をします。
原作はマンガですが、ご存じですか?「100万人の命の上に俺は立っている」
テレビアニメになるほどの人気マンガでも、若者のしゃべりに影響するかな?関係ないかもしれません。
小学生のころ、学校でドリフのマネをして怒られた私ですが。(^_^;)
- 夜行猫
- 2021/08/02 17:26
窓の梁に乗っているウリちゃまの,なんと
きれいなことでしょう (≧▽≦)
柔らかい曲線でしなやかですね~♪
逆光なのも,またいいものですね (^^)
『かっこい!』じゃなく『かっこよ!』本当に
面白いです!
『かっけー』はさすがに品がなく,何だかなぁと
思ってしまう私ですが『かっこよ!』はあまり
変な感じを受けずに入ってくるのが不思議です。
- ж∫цж
- 2021/08/02 19:38
◇中村菜花群さん◇
そうですねえ。現代日本語の中に見え隠れする古語の痕跡、おもしろいですよねえ。なぜそれが残った?と不思議に思うことは、よくあります。/「かっこよ」は、すでにインスタグラムやツイッターのハッシュタグにもなっているのを確認しました。早晩、中村さんのお耳(お目)にもとまるのではないかと思います。/金田一春彦の「第四種の動詞」ですね。「とがる、優れる、そびえる、似る、馬鹿げる」等々。でも今は、大きく変化動詞にくくることが多いのではないでしょうか。
◇夜行猫さん◇
初めまして、ではないような気がいたしますが、お久しぶりです! ようこそおいでくださいました。/ほう、すでにテレビアニメに進出しているとすれば、広がるのは時間の問題でしょうね。その作品は存じませんでした。情報ありがとうございます。その時代に人気のナニカがことばに与える影響は大きいですよね。
◇ж∫цжさん◇
わたしも寝ぼけ頭で一瞬「ん?」とは思ったものの、わりとすんなり受け入れられる気がしました。これまでなかったのが不思議なくらい、この形、理にはかなっていますもんね。/猫のシルエットって、ほんとうにきれいですよねえええ。が、ウリ猫、この後はまたとんと上ってくれないのです。次のチャンスを逃さないように、見張っておきますわ。
- ニャンタのおば
- 2021/08/03 08:42
へえ~そんな言い方するのね、聞いたことないなあと思っていましたが、
昨日録画してあった番組を見たら、若いアスリートの方(今オリンピックに
出ている人ではないです)が
「先輩の姿を見て『かっこよ!』って思いました」と話していました。
数日前の番組なので、リアルタイムで見ていたら「今なんて言った?
『かっこよ』???」とはてなマークを盛大にアタマから生やしたまま
数日過ごすことになったでしょう。
自ら口にするのはちょっとはずかしいかも。こっそり練習してみたいので
ウリちゃん窓の梁に上って!小声で言ってみるから。- 三毛猫
- 2021/08/05 00:00
◇三毛猫さん◇
おお、貴重な目撃事例(あ、耳撃?)のご報告をありがとうございます。上で中村菜花群さんへのお返事にも書きましたが、インスタやツイッターのハッシュタグにもなっていますし、これは、定着しそうな予感がします。ええ、今のうちに練習なさっておいたほうがいいかもしれませんぞ。ウリはこの後また全然上らなくなってしまったので、どうぞお身の回りの猫さんで練習なさって!- ニャンタのおば
- 2021/08/05 09:45
またまた面白い日本語の話題をありがとうございます。
「かっこよ!」という言い方、今日まで聞いたことがありませんでした(笑)。
「よい」と「いい」が全く別語だと考えると、「いい」には終止形と連体形しか無いわけですね。そういう点では助動詞「う」「よう」「まい」と似ているなぁと、改めてそう感じました(だからどうということもない、単なる感想です)。
動詞で言えば、「馬鹿げる」には、連用形しかありません。「馬鹿げている」「馬鹿げた」ぐらいしか用例が無いでしょう?
「彼は馬鹿げる」なんて言わないよなぁ。終止形すら使わないなんて、なんて不思議な単語だろうと、ふとそんなことも思い出しました(これも、単なる感想です)。